私の友人は音痴です。
学生の頃からの付き合いですが、いまだに一度もカラオケなどに行ったこともなければ、友人の歌を聞くこともありません。
今はもう大人で、お互いに仕事も家庭も持つ身。
そうそう連絡を取るということも、自然と減ってなくなっていきました。
そんなある日、その友人から突然電話がかかってきました。久しぶりの声に、少々戸惑いながらも、懐かしさから一緒に会う約束をしました。
始めは食事でもと、適当に居酒屋に入り、そのうちにカラオケにでも行っちゃうかみたいな流れになり、いいねーと返事をしたものの、次の瞬間には「え!?」と驚きの声をあげました。
それもそうです、友人は学生の頃から音痴で名が通り、カラオケはもちろん、合唱などの類も口パクなうえに、歌のテストは逃げまくりで、見かねた音楽教師が別室でやるなどの対応をする始末の奴だったのに。そんな奴の口から、まさかカラオケの誘いが出るなんて。一瞬何事が起きたのかわかりませんでした。
「お前、カラオケ嫌いなんじゃなかったか?」
思わず聞いた私に、友人は特にどうという事もなく、もう好きになったんだ。そう一言いいました。友人がいいというのだから、反対するはずもなく、私たちは近場のカラオケ店へと移動しました。
友人はこれまでに聞いたことのないくらいに、披露してくれる歌は素晴らしいものでした。
あんなに音痴だった友人が、ここまで歌を歌えるようになっていたのには驚きです。いったいどんな事があってそんな風になったのか、こんどはそこが気になりだした私は、最後に聞いてみました。
そうしたら、歌のスクールに通い特訓をしたそうな。そんなスクールがあるなんて知らなかった私は何度も驚かされた一日でした。
あんなに歌を嫌がっていた友人が、人前で歌を披露するまでに出来るんですから、大したもんです。いっそ私も通ってみようか、ふとそんな気持ちになりました。
音痴
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